誘惑カウントダウン 3 鏡 1
生れ落ちた瞬間から、愛しい“罪”を犯していた---男も女も魅了する艶やかな雰囲気をもつ眉目秀麗な青年、雨夜鏡(あまみやあきら)。その誰もが欲しがる鏡の心は、快楽を追い続ける美子ではなく、逢うことの出来ないあの人で占められていた。決して叶う事のない背徳の想い……。愛に飢え、渇き冷めきった鏡にとって、抱く相手など誰でもよかった。その見境いのなさに眉をひそめる美子の友人・要は、鏡の軽薄な言葉に必要以上に感情的な反応を示した。それは、本気で他人と交わることのない孤高の存在に出逢ったことで、要の内部に変化が起きた証だった。鏡に関するすべてのことに苛立つ要は、不安を消し去ろうと恋人にすがりつく。だが、その思いを裏切る恋人の態度に絶望した要は、雨の中をあてど無く彷徨った。そして出逢ったのは、鏡だった……。
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